三、草・木などの名前にみられる方言(15) ばっけぁ(ふきのとう)『秋田方言』では次のようです。
横手・平鹿の例がみえません。採集での記載漏れがあったものでしょうか。 この「ばっけぁ」について、くわしい解説は『秋田方言辞典』です。 まず、『雪の出羽路』での紀行家・菅江真澄が天明五年(1785)2月22日、湯沢をたずねたくだりに次の文のみえることを解説しています。
この文の中に「ばかい」がみえていますが、おそらく、「ばっけぁ」と聞いたものを、真澄は書きことばとして「ばかい」としたものでしょう。いかにも真澄らしい書きぶりです。いまから二百二十年も前のことということになります。 ところで、「ばっけぁ」の語源については、いろいろ諸説があって、『秋田方言辞典』はくわしい解説をとっているのですが、そのなかから、いくつか。
さすがの考察です。 アイヌ語説も、捨てがたいように思うのですが、“婆毛ヤ”と白髪に見立てたものとする説に軍配があがりそうに思われます。 しかし、フキノトウをアイヌ語でマカヨ、また、パッカイという語の語源的な意味などが、もっと解明されたなら、パッカイ説もうなづかれるものになったでしょう。アイヌ語パッカイも、“婆毛ヤ”と見たてたものとするなら、名付けの共通性がうかびでてくるとなれば、いや、そう思ってみるだけで胸が少しドキドキしてくるのを感じてしまいます。 雪消えに始まる可憐なバッケアのつぼみと、やがて季節を終わった白い小頭花に、自然のうつろいをしみじみと“婆毛ヤ”に見立てた名付けのふかさに思いをはせてしまいます。 |
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