三、草・木などの名前にみられる方言(14) あいこ(みやまいらくさ)山の学校の春の運動会。体操場でのお昼とか、終わってからの集落ぐるみの一杯飲みでのじゅっこ(重箱)に、このアイコが自慢げに入っていたもの。山の春が、そこに爆発するかのように。シドケ・ホンナ・ウド・カタゴなどのおひたしや和え物・煮物などいっぱい。その中で、アイコは春の山菜の王者でした。
このアイコが、『秋田方言』(昭和四年刊)に採録されていない。採録者は、山の幸に遠いか、山菜の味を知らなかったからでしょうか。 ところで、たいへんな発見におどろかされてしまったのが、『秋田方言辞典』の、その「あいこ」の項の解説です。
アイコの[ai](刺)のアイヌ語・語源説にはおどろかされてしまいます。そのアイコの刺の痛さを知らないのですが、ここの山野でアイヌの人たちも山菜としてアイコを採っていたであろうことを想像すると、はるかな時空を超えて、今、アイコの刺のその痛さを、ふっとこの身に感じてしまうほどです。そのアイコの刺の痛さも知らないというのに。 ああ、山の学校の春の運動会がなつかしい。 |
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