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三、草・木などの名前にみられる方言

(10) にどいも (じゃがいも)

『秋田方言』では次のようです。

どえも(河・仙・平・雄)馬鈴薯

短い「はねる音 <> 」が入っての一例。『広辞苑』では、

にど・いも(二度芋)年に二度採れるからという。ジャガイモの異称。
ばれいしょ(馬鈴薯)ジャガイモの別称。

<異称> <別称> と、天下の『広辞苑』もややこしい。「ジヤガイモ」の項では次のようです。

(「ジャガタラいも」の略。慶長年間、ジャカルタより渡来したからという。)
…南米アンデス高地の原産。…男爵など多数の栽培品種がある。馬鈴薯。二度芋。 ゴショイモ。

「馬鈴薯」についての項と解説がないのはどうしてなのでしょう。「にどいも」の明解は、さすが『秋田方言辞典』です。

二度いも (ニンドイモ)
[考察]  「二度芋」で、年に二度収穫できることからの名称。実際に二期作を行えるのは関東以西、山梨県に二度取の名がある。二期作可能な地域で生まれた語が作物といっしょに東北地方に伝わったものだろう。ドが鼻音化していないので、二斗芋ではない。

さすがに要を得た考察です。

ところで、「じゃがいもの方言」地図をご紹介しておきます(下図。引用の地図は『にっぽんご6 語い』(むぎ書房刊)より)。

この方言地図を見ると、秋田県の場合、多くの地域で「にどいも」。 県北部・中央・由利などに「ゴドイモ」と呼ぶところがあり、鹿角・河辺あたりに「ゴショ(ー)イモ」がみられます。これは、じゃがいもの伝来のちがいによって、「ニド…」「ゴド…」、また、「ゴショ(ー) …」などがあるのかも知れません。

いそいで、さきの『秋田方言』を追っかけてみると、

ごしぇも (河) 馬鈴薯
ごしょいも(鹿・市)馬鈴薯
ごどえも (山・南・河・雄)馬鈴薯

なんと、ちゃんとありました。横手・平鹿にはこの方言はないようですが、なお追っかけてみるのも宿題のひとつかもしれません。


じゃがいもの方言マップ


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