三、草・木などの名前にみられる方言(3) すかんぽ (すいば)♪ 土手のすかんぽジャワ更紗(さらさ)… 『薬草カラー図鑑』の≪すいば≫の項では、
とあります。江戸時代、すでにスカンポと呼ばれていたというのですから、これは全国方言というか、全国共通語と言えそうにもみられます。 『秋田方言』では次のようです。
全県五例のみ。横手・平鹿では三例。横手・平鹿の「すかん」は≪すかな≫を指すとしていますが、漢名が≪酸模(すいば)≫、≪酸菜(すかな)≫は和名かと思われます。つまり、「すかんぽ」ということ。でも、ほかの「すかんこ」「すかんぽ」の指す植物名をみな、 <かたばみ> (酸漿)にあてているのはどうしたことでしょう。これはくせ者です。 そこで、『薬草カラー図鑑』でその <かたばみ> の正体をさぐってみたいと思います。
「すかんこ」「すかんぽ」は、この <かたばみ> とはまったく別の植物といえましょう。『秋田放言辞典』は、また別な考察をみせてくれています(要点のみ)。
『同書』の考察はなんともくわしい。さすがです。要約の要約ということになるのですが、考察(1)の≪すかんぽ≫は、“スイバの全国共通語”ということですから、ほっと胸なでおろします。(2)は、“いたどり”。 用例、“酒ほがひ”(吉井勇)の“わかうど”「すかんぽの茎の味こそ忘られね いとけなき日のもののかなしみ」。これは、“いたどり”でなくてはなりません。“すかんぽ”が泣くでしょう。 ですから、その土地によって、方言での呼び方が違うということでしょう。 そこで、土地によって呼び方が違うのだからこそ、横手地方では、やっぱし、“すかんぽ”は「すいば」を指し、“いたどり” “かたばみ”などを指したりはしない、と言い切れそうに思うのですが、どうでしょう。 ところで、酸っばいことを方言では「スカイ」ともいうのですが、「すかんぽ」の語の終わりに「…坊」をつけた、「すかん坊」から、「すかんぽ」に転じたともいわれます。日がな一日、野に土手に遊びほうけた昔の子どもたちにとって、一番の遊び相手として「坊」のことばが似合うといえましょう。「すかん坊」から「すかんぽ」に転じたものかも知れません。そこは宿題にして、もう一度、歌いたくなります。 ♪ 土手のすかんぽ、ジャワ更紗… 「すかんぽ」は土手がよく似合います。 <カタバミ> では小さ過ぎて歌にはなりません。「すかんぽ」は、やはりジャワ更紗がよく似合います。 |
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