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三、草・木などの名前にみられる方言

(6) あさしらげ(はこべ)

『薬草カラー図鑑』に≪歯磨きの先祖≫という見出しで、次のような記述が見られます。

「…古くから、ハコベ塩を歯みがきに用いていた。『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』(1713)は生のハコベをしぼってとった青汁を、塩とともにアワビの貝殻に入れて焼き、乾けばまた青汁を加えるということ七度に及ぶと述べ、このハコベ塩を指先につけてみがいていた。

古くはハコベラの名で呼ばれていたが、食用、薬用にしたり、小鳥のえさにするのでよく知られている草のため、各地それぞれの方言名で呼ばれている。ハコビ、ヒズリ、ヒズル、ヒヨコグサ、へズリ、アサシラベなど。春の七草のひとつ。」

とあって、アサシラベがみえています。

『秋田方言』では <雄勝> の一例が見えるだけです。

あさすらげ(雄)はこべ。

『秋田方言辞典』では次のようです(要点のみ)。

「…アサシラゲのシラゲは <精げる> (白げる)の連用形の名詞化で、朝、歯を白げるに用いるものの意」

と明解です。的確な解説です。

古名「はこべら」も、そして、「はこべ」も、ふだんのくらしと直接的なものであった「アサシラゲ」までも、いまは遠くなってしまっています。島崎藤村の『小諸なる古城のほとり』の名詩のなかに <はこべ> は生き残っているといえましょう。

アサシラゲよりもちょっと大きめのウシハコベもよく見られますが、これを食べると乳の出がよくなるなどとも言われます。ハコベもウシハコベも道端や土手などに可憐な小さな花を咲かせます。


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