三、草・木などの名前にみられる方言(9) ぼぼら(かぼちゃ/南瓜)『秋田方言』には次の二例。
ふたつとも、(平鹿)の方言として例示。昭和初年、秋田県各地にみられる方言としてでなく、(秋田市)と(平鹿)の二地域のみというのもおもしろいですし、「ぼんぼら」(無能者)としてとりあげられたのもおもしろいといえましょう。 ふつう、「かぼちゃ」には <南瓜> の漢字をあてるように、南はインドシナ半島カンボジアからの渡来とされています。では、もう一方の「ぼぼら」はどうなのでしょう。これはポルトガル語のアボーブラをもとにした語とされます。 くわしい解説が『薬草カラー図鑑』にみられますのでご紹介しておきます。
トウナスともいわれたという南瓜が、渡来の事情によってボウブラと呼ばれたり、カボチャとよばれた事情がよくわかります。 横手地方でいう「ぼぼら」は、一足早く日本に渡来した「ボーブラ」をもとにした語というわけでしょうから、南瓜の歴史を正当に伝えているのかも知れません。 終わりになりましたが、「ぼんぼら頭」などといわれる、「ぼんぼら」の意は、大きいだけで無能な頭、間抜け、愚か者、バカなどの罵語となったものです。名付けのうまさはうまさとして、当のボボラにとっては心外の至りで、はなはだ迷惑千万ということでしょうか。 「冬至 冬中 冬はじめ」の冬至にカボチャを食べると、中風にならないというのは江戸時代後期からのこととか。本格的な冬を前にして、不足がちになる緑黄野菜の摂取のすすめは、これも人間のチエのひとつ。 わたしなどはボンボラなもんだから、ボボラが大好き人間で、年から年中、カボチャ(南瓜)を食べています。 |
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