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三、草・木などの名前にみられる方言

(9) ぼぼら(かぼちゃ/南瓜)

『秋田方言』には次の二例。

ぼぼら(市・平)かぼちゃ(南瓜)
ぼら(平)無能者

ふたつとも、(平鹿)の方言として例示。昭和初年、秋田県各地にみられる方言としてでなく、(秋田市)と(平鹿)の二地域のみというのもおもしろいですし、「ぼぼら」(無能者)としてとりあげられたのもおもしろいといえましょう。

ふつう、「かぼちゃ」には <南瓜> の漢字をあてるように、南はインドシナ半島カンボジアからの渡来とされています。では、もう一方の「ぼぼら」はどうなのでしょう。これはポルトガル語のアボーブラをもとにした語とされます。

くわしい解説が『薬草カラー図鑑』にみられますのでご紹介しておきます。

「南メキシコから中央アメリカの原産。戦国大名大友宗麟が北九州や伊予、日向まで武威を誇示していた天文年間(1532〜1554)、ポルトガル船によって豊後(ぶんご) <大分県> に渡来した。

ポルトガル語でアボーブラと呼ばれていたのがなまり、ボウブラになったのが和名の始まり。…(中略)…カボチャの名はカンボジアに由来するが、ボウブラよりあとに渡来したとされている」

トウナスともいわれたという南瓜が、渡来の事情によってボウブラと呼ばれたり、カボチャとよばれた事情がよくわかります。

横手地方でいう「ぼぼら」は、一足早く日本に渡来した「ボーブラ」をもとにした語というわけでしょうから、南瓜の歴史を正当に伝えているのかも知れません。

終わりになりましたが、「ぼぼら頭」などといわれる、「ぼぼら」の意は、大きいだけで無能な頭、間抜け、愚か者、バカなどの罵語となったものです。名付けのうまさはうまさとして、当のボボラにとっては心外の至りで、はなはだ迷惑千万ということでしょうか。

「冬至 冬中 冬はじめ」の冬至にカボチャを食べると、中風にならないというのは江戸時代後期からのこととか。本格的な冬を前にして、不足がちになる緑黄野菜の摂取のすすめは、これも人間のチエのひとつ。 わたしなどはボンボラなもんだから、ボボラが大好き人間で、年から年中、カボチャ(南瓜)を食べています。


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