四、古語をもとにした方言(9) しねぁ古語辞典(角川版)では次のようです。
①の用例に万葉の古歌。横手の方言では「しなる」のかたちをとりますが、ほかに「しねぁ」のかたちもあります。どれも「しなふ」のかたちからの転訛かと思われるのですがどうでしょうか。 ただ、『秋田方言』では、表記のしかたが少し違ったかたちで示されているようです。
はじめの「すなる」は、「しなる」のもうひとつのかたちといえます。 「す」であったり、「し」であったり、東北方言特有の si ・ su の発音を示しているといえます。ふたつめの「しない」「しなくて」でも、どちらにも語中の「…ナイ」のかたちの音は、「…æ ェァ」の音変化をとるので、「シネァ」となるのがふつうです。干しイカを口に入れてしゃぶるときの「このイカ、しねぁ」のあの実感そのものです。 『雄勝地方の方言集』では次のようです。
この「しねや」の表記も、実際の発音は「しねぁ」に近いのでないかと思われます。ただ、この「しねや」の意味が、「ねばり強い」となっていて古語「しなう」の意の転義であることがわかります。いうなれば、「しなり強い」ということになります。 『秋田方言辞典』では次のようです(要点のみ)。
「シネァ」は、古語「しなう(撓う)」をもとにした方言ということができましょう。なお、『同書』では、「しない」の項のほかにも、「しなる・しならかす」の項をあげています。それに「しなりづよい」とつづくのですから語をどこまでも追う姿勢にはおどろかされます。くわしくは『同書』を御覧ください。 |
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