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二、身体部位にみられる方言

(5) おとげあ

「顎(あご)」のことを横手地方では、「おどげぁ」といいます。方言でしょうか。 まず、『秋田方言』(昭和四年刊)でみると次のようです。

おどげぁ(鹿・北・山・南・市・仙・平・雄)顎(あご)。

ほぼ全県的に「おどげぁ」といわれていたことがわかります。

古語辞典ではどうでしょうか。

おとがひ [頤]あご。下あご。
(「旺文」)  

『広辞苑』でも同じようです。

おとがい [頤]下あご。

「おどげぁ」のもともとのかたちは、古語の「おとがひ」であることがわかります。これも、出身を古語とする方言のひとつということになります。

古語「おとがひ(い)」の語中に(あるいは語の終わりに)「アイ」の音をもつものは、「æ ェァ」となり、「おどげぁ」と発音されるのは方言のひとつの法則的な特徴のひとつです(「æ」については「とぜねぁ」の項参照)。なお、語中の「と」が濁音化して「ど」になるのも方言の音声のもつ法則的なひとつといえます。「的(まと)」が「まど」、「毛糸(けいと)」が「けいど」になる例のようにです。

『秋田方言辞典』では次のようです。

おとがい・どげぁ  下あご。
…(考)おとがい[頤] 下あご。あご。
「あぎ[顎]上あご」に対する語。(略)
−語源については、「オトギアヒ(乙牙合)の約か。乙は次の意。上あごに対していう」とも。「下番(おとつがひ)の約」とも言われる。なお、「オトガヒ」は朝鮮語 tok(頤)と関係があろう、という。

たかが、「おどげぁ」ですが、『秋田方言辞典』はさすがにふかい考察を示しています。


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