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二、身体部位にみられる方言

(4) まなぐ

『秋田方言』(昭和四年刊)では、

まなぐ  (全県)  まなこ(眼)。

と、全県的に、方言「まなぐ」をあげていますが、「ままご」(鹿)の例もあげています。横手では、「まなぐ」のほかに、「まなご」というときもあるようですがどうでしょう。その使いわけについてはわかりませんが。

「まなこ」は古語辞典にでています。

ま・な・こ [眼]   「目の子」の意。
① めだま。 目。  黒眼。
(「角川」)  

古語の「まなこ」の語中、また語のおわりの「こ」の濁音化ということで、「まなご」となったものでしょうか。

『秋田方言辞典』では次のようです。

まなく・まなご・ままこ
……(考)  まなこ(眼) 「目(ま)な子」で、ひとみ。黒目の意。転じて、目、目玉の意となる。(…略…)
まなく(眼)、「まなこ」の変化した語。−マナコは中世以降の語。[ママコ]はマナコの転。マナクは室町期以降の語。

「まなぐ」のもともとのかたちを、古語「まなこ」とし、その転(音変化)として「マナク」をあげています。「マナク→マナグ」とさらに音変化をとったのが、方言「まなぐ」ということになります。「まなぐぶち」(眼縁)という方言もよくつかわれます。

「まなこ」といえば、「ひとみ」という語がうかびます。「まなこ」と同義ですが、広辞苑では次のようです。

ひとみ  [瞳・眸]
目の玉のなかの黒い部分。瞳孔(どうこう)
つぶらな瞳。
瞳を凝らす→じっと見つめる。凝視する。

「つぶらな目」ともいいます。また、「目を凝らす」ともいいます。 でも、「瞳・眸」を使って、「つぶらな瞳」「瞳を凝らす」とすると、ぐっと文学的形象をゆたかにします。話ことばとしてよりは、書きことばとしてだいじにされてきた語のようです。

ですから、「瞳」を表す方言をもたないとみていいでしょう。「瞳」に一番近いとみられる方言をあげるとすれば、話ことばとしての「まなぐ玉」かも知れません。


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