二、身体部位にみられる方言(2) なずき『古語辞典』では「なづき」です。 古語であることがわかるのですが、横手地方では、「なずぎ」「なんじぎ」などのように語のおわりの音を濁音化して発音します。音変化をとった「なずぎ」「なんじぎ」は方言といえましょう。まとめていえば、出身を古語とする方言のひとつということになります。 ところで、「なずき」を「ひたい」ともいうし、また、「おでこ」ともいうのですが、意味上では大きな違いがみられます。まず、古語辞典からみてみましょう。
古い時代に使われていた「なづき」の意味と、現代での意味とは大きく違っていることがわかります。古い時代は「脳髓」、または「頭」を意味し、現代は、「頭」の一部分を意味して、「おでこ」と同義です。
現代では、「なずき」は、「ひたい」「おでこ」と同義です。こうした事情を、『秋田方言辞典』では次のように解説しています。
広く秋田方言では「なずき」は「額(ひたい)」を意味するとしています。 もともとの意味の時代的な変遷がわかりますが、そうした推移のなかで、形容的に少し出っ張っている…とみたてた「おでこ」の語が、いつ頃生まれたものなのか、興味深いものがあります。 現代、「おでこ」には幼児語的なニュアンスが感じられるのですが、幼児と親とのあったかい対話から、そのものズバリの「おでこ」の誕生を想像したりしてみると、思わずほほえましくなります。 |
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